練習問題
問題 18.1
\(n\) 個の事象に対する条件付き確率の乗算則は次の等式で表される:
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三つの点を使った省略記法を使わずに ── 適切な \(a\), \(b\) に対する \(\bigcap_{i=a}^{b}\) を使って ── 上記の等式を書き直せ。
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数学的帰納法を使って等式を証明せよ。
問題 18.2
Clean Harry は \(6\) 発装填のリボルバーをホルスターから取り出し、シリンダーのランダムな位置に \(2\) 発の弾を入れてからシリンダーをランダムに回転させ、「今日の運勢は?」と語りかけながら銃をあなたの胸に突き付けた。
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彼が引き金を引いたときにあなたが打たれる確率を求めよ。
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彼が引き金を引いてもあなたが打たれなかったとする。このとき、彼がもう一度引き金を引いたときにあなたが打たれる確率を求めよ。
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あなたは Clean Harry がシリンダーの隣り合う位置に \(2\) 発の弾を込めたことに気が付いた。この事実を知ったとき、\(\text{(a)}\) と \(\text{(b)}\) の解答はどのように変化するか?
問題 18.3
標本空間全体を被覆する排反な \(n\) 個の事象 \(E_{1}\), \(E_{2}\), \(\ldots\), \(E_{n}\) に対する全確率の法則を表明し、証明せよ。
問題 18.4
標本空間全体を被覆する排反な \(n\) 個の事象 \(E_{1}\), \(E_{2}\), \(\ldots\), \(E_{n}\) に対する Bayes 則を表明し、証明せよ。\(n\) 個の事象に対する全確率の法則 (問題 18.3) を使って構わない。
問題 18.5
トランプのデッキが \(2\) 個ある。一方のデッキには \(52\) 枚のカードが全て含まれるのに対して、もう一方のデッキにはスペードのエースが欠けていて \(51\) 枚のカードしか含まれない。いずれかのデッキを等しい確率で選択し、そのデッキから \(1\) 枚のカードを一様ランダムに引く試行を考える。この試行でハートの \(8\) を引いたとき、完全なデッキを選択した確率を求めよ。四ステップ法と樹形図を使うこと。
問題 18.6
\(A\heartsuit\) と \(A \spadesuit\) とジョーカーの \(3\) 枚のカードが裏向きで机の上に並んでいる。この中から等しい確率でカードを \(2\) 枚選んで手札として、この手札に含まれるエースの枚数を \(n\) とする。さらに、この \(2\) 枚の手札の中から \(1\) 枚を等しい確率で選んで表向きにする試行を考える。
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この試行の確率空間 (結果とその確率) を説明し、次の事象を結果の集合として表せ:
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[\(n \geq 1\)] (手札に \(1\) 枚以上のエースが含まれる)
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[\(A\heartsuit\) が手札に含まれる]
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[表向きにされたカードが \(A\heartsuit\) である]
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[表向きにされたカードがエースである]
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\(\text{(a)}\) で考えた事象を \(E\) としたときの \(\operatorname{Pr}[n = 2 \, | \, E]\) をそれぞれ求めよ。なお、いくつかの事象に対する解答は等しい。
\(d\) 枚の異なるカードからなるデッキがあり、その中に \(A \heartsuit\) を含む \(a\) 枚の異なるエースが含まれるとする。このデッキから等しい確率で \(h\) 枚を裏向きに引いて手札として、手札の \(1\) 枚を表向きにする試行を考える。
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\(\displaystyle \operatorname{Pr} [A \heartsuit \text{ が手札に含まれる}] = \frac{h}{d}\) を示せ。
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次の等式を証明せよ:
\[ \operatorname{Pr} [n = 2 \,\, | \,\, A \heartsuit \text{ が手札に含まれる}] = \operatorname{Pr} [n = 2] \cdot \frac{2d}{ah} \tag{18.8}\] -
次の等式が成り立つと結論付けよ:
\[ \operatorname{Pr} [n = 2 \,\, | \,\, \text{手札が }A \heartsuit \text{ を含む}] = \operatorname{Pr} [n = 2 \,\, | \,\, \text{表向きにされたカードがエース}] \]
問題 18.7
公平な六面サイコロを \(6\) の目が出るまで降り続ける試行を考える。
この試行の自然な標本空間 \(\mathcal{S}\) は \(1\) 以上 \(5\) 以下の整数を並べた有限文字列の末尾に \(6\) を付けた文字列全体の集合であり、これは \(\mathcal{S} ::= [1..5]^{\ast} 6\) と表せる。
例えば、文字列 \(256 \in \mathcal{S}\) はサイコロの出目が順に \(2\), \(5\), \(6\) である結果に対応する。また、長さ \(1\) の文字列 \(6 \in \mathcal{S}\) は最初に \(6\) の目が出る結果に対応する。
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\(\operatorname{Pr} [256]\) はどのように定義されるべきか? \(\operatorname{Pr} [6]\) はどうか? 任意の結果 \(s \in \mathcal{S}\) の確率についてはどうすべきか?
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\(\text{(a)}\) で解答した \(\mathcal{S}\) の要素に対する確率の割り当てが確率空間を定義することを検証せよ。この事実は、\(6\) の目が永遠に出ない状況の確率について何を意味するか?
任意の文字列 \(r \in [1..5]^{\ast}\) に対して、一投目からの出目がちょうど \(r\) になる事象を \(F_{r}\) とする。また、全てのサイコロの出目が偶数である事象を \(V\) とする。つまり \(V\) は \(2\) または \(4\) だけが連続で出た後に \(6\) が出る事象であり、\(\{2,4\}^{\ast}6\) と表せる。
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\(2\) と \(4\) だけが並んだ任意の文字列を \(t\) とする。つまり \(t \in \left\{ 2, 4 \right\}^{\ast}\) である。次の等式が成り立つ理由を説明せよ:
\[ \operatorname{Pr}[V \, | \, F_{t}] = \operatorname{Pr}[V] \tag{18.9}\] -
等式 \(\text{(18.9)}\) を使って、任意の \(t \in \left\{ 2, 4 \right\}^{\ast}\) に対して次の等式が成り立つ理由を説明せよ:
\[ \operatorname{Pr}[F_{t} \, | \, V] = \operatorname{Pr}[F_{t}] \]次の等式の成立を結論付けよ:
\[ \operatorname{Pr}[6 \, | \, V] = \frac{2}{3} \tag{18.10}\] -
事象 \(V\) が起こるとき、最初の出目として可能なのは \(2\), \(4\), \(6\) のいずれかである。全ての出目は等しい確率を持つので、最初の出目が \(6\) である確率 \(\operatorname{Pr}[6 \, | \, V]\) は \(1/3\) と分かる。しかし、これは等式 \(\text{(18.10)}\) と矛盾する! 何が間違っているか説明せよ1。
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等式 \(\text{(18.10)}\) を使って次の等式を直ちに結論付けよ:
\[ \operatorname{Pr} [V] = \frac{1}{4} \tag{18.11}\]
問題 18.8
邪悪な魔法使い Volmedort、悪の帝王 Saruon、そして小さなウサギ Fo-Fo の三人が厳重な警備の敷かれた牢獄に収監されている。仮釈放委員会は、この \(3\) 人の中から \(2\) 人を等しい確率で選んで仮釈放することを決定した。まだ誰が選ばれるかは明かされてはいないものの、Saruon は自身が選ばれて悪に満ちた故郷 Modror に帰還できる確率は \(2/3\) だと自然に考えた。
そんなとき、Saruon の元を訪れた看守が「他の \(2\) 人 (Volmedort と Fo-Fo) の中で誰が仮釈放されるかを教えてやろうか」と言った。仮釈放される囚人が Volmedort と Fo-Fo の場合、看守はいずれかの名前を等しい確率で教えるという。
Saruon は看守が信頼できる人物だと知っていたものの、看守の提案を断った: 看守からの情報によって自分が仮釈放される確率が下がると考えたからである。例えば、もし看守から「Fo-Fo が選ばれる」と知らされたら、後に残るのは自身と Volmedort であり、この \(2\) 人は等しい確率で選ばれるので自分が選ばれる確率は \(1/2\) に低下する。
悪の帝王 Saruon の考えには条件付き確率を使った議論で典型的な誤りが含まれている。四ステップ法と樹形図を使って彼の誤りを説明せよ。看守が「Fo-Fo が仮釈放される」と Saruon に伝えたという条件の下で、Saruon が仮釈放される条件付き確率を求めよ。
ヒント: 事象 \(S\), \(F\), \(F^{\prime}\) を次のように定義する:
問題 18.9
全ての Skyrunner は光サイドと闇サイドのいずれかに分類される。
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最初の Skyrunner は闇サイドである。
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\(n \geq 2\) に対して、\(n\) 番目の Skyrunner は \(1/4\) の確率で \(n-1\) 番目の Skyrunner と同じサイドであり、\(3/4\) の確率で \(n - 1\) 番目の Skyrunner と異なるサイドである。
\(n\) 番目の Skyrunner が闇サイドである確率を \(d_{n}\) とする。
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\(d_{n}\) が満たす再帰方程式を十分なベースケースと共に示せ。
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母関数 \(\displaystyle D(x) ::= \sum_{i=1}^{\infty} d_{i} x^{i}\) を簡単な式で表せ。
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\(d_{n}\) を簡単な閉形式の式で表せ。
問題 18.10
図 \(\text{18.3}\) に示す有向非巡回グラフ (DAG) を \(G_{0}\) とする。
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\(G_{0}\) と同じ歩道関係を持つ辺の個数が最小の DAG は、\(G_{0}\) から辺をいくつか削除することで得られる。削除すべき辺を示せ。
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\(G_{0}\) が持つ要素数最大の鎖 (定義 10.5.5) を答えよ。
図 \(\text{18.4}\) に示す単純グラフを \(G\) とする。\(G\) の各辺をランダムに向き付けることで有向グラフ \(\overrightarrow{G}\) を得る試行を考える。各辺の向きは二つの方向の中から等しい確率で独立に選ばれるとする。
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\(\overrightarrow{G} = G_{0}\) となる確率を求めよ。
ランダムグラフ \(\overrightarrow{G}\) を構築する試行に関する事象を次のように定める:
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\(\operatorname{Pr}[ T_{1} ]\), \(\operatorname{Pr}[ T_{1} \cap T_{2}]\), \(\operatorname{Pr}[ T_{1} \cap T_{2} \cap T_{3} ]\) を求めよ。
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\(\overrightarrow{G}\) は「有向閉路を持つなら、長さ \(3\) の有向閉路を持つ」という性質を持つ。この事実を使って \(\overrightarrow{G}\) が DAG となる確率を求めよ。
問題 18.11
ある講義 ── 当然「情報科学のための数学」ではない ── では、宿題として出題される問題の \(10\%\) が間違っている。TA に「この問題、間違ってませんか?」と聞くと、その問題が間違っているかどうかに関係なく \(80\%\) の確率で正しい解答が得られる。講義を担当する教員に同じ質問をすると、その問題が間違っているかどうかに関係なく \(75\%\) の確率でしか正しい解答が得られない。
ランダムに選んだ問題について TA もしくは教員に質問する試行としてこの状況をモデル化する。次のように事象を定める:
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冒頭で説明した設定を事象 \(E\), \(T\), \(L\) に関する条件付き確率が含まれる等式の集合として表せ。
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ある問題が間違っていると感じて TA に質問したところ、TA は「その問題は間違っていない」と解答した。念のため教員にも質問したところ、教員は「その問題は間違っている」と解答した。TA と教員の解答が正しい確率は問題が間違っているかどうかに関わらず互いに独立だと仮定するとき、この問題が本当に間違っている確率を求めよ。
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事象 \(T\) は事象 \(L\) と独立か? 言い換えれば、\(\operatorname{Pr}[T \, | \, L] = \operatorname{Pr}[T]\) は成り立つか? まず直感的な説明をしてから、両方の確率を求めてその正しさを検証せよ。
問題 18.12
公平なコインを何度も投げ、結果を並べた列に \(\texttt{HTT}\) または \(\texttt{HHT}\) が現れたときに止める試行において、\(\texttt{HTT}\) が現れて試行が止まる確率を求めよ。
ヒント: \(\texttt{HTT}\) の前に \(\texttt{HHT}\) が現れる条件付き確率を、「最初のコイン投げの結果が \(\texttt{T}\)」と「最初のコイン投げの結果が \(\texttt{H}\)」のそれぞれで条件付けて求める。解答は \(1/2\) でない。
問題 18.13
\(52\) 枚の通常のトランプ一式を完全にシャッフルし、\(13\) 枚の手札をランダムに取ったとする。
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手札にエースが \(1\) 枚含まれるとき、手札にエースがもう \(1\) 枚含まれる確率を求めよ。
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手札にスペードのエースが含まれるとき、手札にエースがもう \(1\) 枚含まれる確率を求めよ。意外なことに、この確率は \(\text{(a)}\) の解答と一致しない。
問題 18.14
\(\operatorname{Pr}[\cdot]\colon \mathcal{S} \to [0,1]\) を標本空間 \(\mathcal{S}\) 上の確率関数、\(B\) を \(\operatorname{Pr}[B] > 0\) が成り立つ事象とする。\(\mathcal{S}\) 上の関数 \(\operatorname{Pr}_{B}[\omega]\) (\(\omega \in \mathcal{S}\)) を次の規則で定義する:
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\(\operatorname{Pr}_{B}[\cdot]\) も標本空間 \(\mathcal{S}\) 上の確率関数 (定義 17.5.2) だと示せ。
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全ての \(A \subseteq S\) に対して次の等式が成り立つと示せ:
\[ \operatorname{Pr}_{B}[A] = \frac{\operatorname{Pr}[A \cap B]}{\operatorname{Pr}[B]} \] -
排反な二事象に対する条件付き確率の加算則が成り立つ理由を説明せよ。この規則は次の等式で表される:
\[ \operatorname{Pr}[C \cup D \, | \, B ] = \operatorname{Pr}[C \, | \, B] + \operatorname{Pr}[D \, | \, B] \qquad (\text{\(C\) と \(D\) は排反}) \]同様のアプローチで他の規則を証明してみよ。
問題 18.15
Meyer 教授は \(52\) 枚からなる通常のトランプ一式を持っている。このデッキには \(26\) 枚の赤いカードと \(26\) 枚の黒いカードが含まれる。彼は次のゲームを提案した: デッキを裏向きのまま完全にシャッフルし、カードを \(1\) 枚ずつ引いて表向きに机の上に並べていく。あなたはデッキのカードが残っている任意の時点で「ストップ」と言うことができる。あなたが「ストップ」と言ったらカードをさらに \(1\) 枚引き、それが黒いカードならあなたの勝ち、赤いカードならあなたの負けとなる。いずれの場合でもゲームはそこで終了する。
このゲームの進行中、あなたが「ストップ」と言う前の段階でデッキに \(r\) 枚の赤いカードと \(b\) 枚の黒いカードが含まれると仮定する。
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この時点であなたが「ストップ」と言った場合、ゲームに勝つ確率は \(b/(r + b)\) だと示せ。
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この時点であなたが「ストップ」と言わない場合、今後どのような戦略を使ってもゲームに勝つ確率が \(b/(r + b)\) で変わらないと示せ。
ヒント: \(r + b\) に関する帰納法を使う。
問題 18.16
Sally Smarley は高校の卒業を目前に控えている。彼女は三つの有名な大学に合格しており、それぞれの大学に進学する確率は次の通りである:
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彼女は \(4/12\) の確率で Yale 大学に進学する。
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彼女は \(5/12\) の確率で MIT に進学する。
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彼女は \(3/12\) の確率で Little Hoop コミュニティカレッジに進学する。
Sally がそれぞれの大学で幸せになる確率も分かっている:
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Yale に進学した場合、彼女は \(4/12\) の確率で幸せになる。
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MIT に進学した場合、彼女は \(7/12\) の確率で幸せになる。
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Little Hoop に進学した場合、彼女は \(11/12\) の確率で幸せになる。
問題 18.17
Monty Hall 問題を少しだけ変更した次のゲームを考えよう。ドアが \(3\) 個あり、一様ランダムに選ばれた \(1\) 個のドアの後ろには賞品が、他のドアの後ろにはヤギが \(1\) 頭ずつ隠される。プレイヤーは \(3\) 個のドアから \(1\) 個を選ぶ。その後、司会者の Monty はヤギが隠されたドアを開けるのではなく、プレイヤーが選択していない \(2\) 個のドアの中から等しい確率で選んだ \(1\) 個のドアを開けるよう助手の Carol に指示する。これは、ヤギではなく賞品が隠されているドアが開けられる可能性があることを意味する。Carol が開けたドアに賞品があった場合は、ゲームを最初から (賞品の隠されるドアの選択から) やり直す。Carol が開けたドアにヤギがあった場合にのみゲームは進行し、プレイヤーはドアの選択をそのままにするか、それとも開かれていないもう一方のドアに変更するかを選択できる。最終的に選択したドアの後ろに賞品があるときプレイヤーはゲームに勝利する。
このゲームを解析するために、次の二つの事象を定義する:
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\(\operatorname{Pr} [GP]\) を求めよ。
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\(\operatorname{Pr} [OP \, | \, \overline{\mathstrut GP}]\) を求めよ。
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\(\operatorname{Pr} [OP]\) を求めよ。
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ゲームが終了せず永遠に続く確率を求めよ。
Carol がヤギの隠されたドアを選択すると、プレイヤーにはドアの選択を変更するかどうかの選択権が与えられる。ドアの選択を変更しない戦略を用いるプレイヤーがゲームに勝利する事象を \(W\) として、\(w ::= \operatorname{Pr}[W]\) と定義する。
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次の条件付き確率を \(w\) が含まれる閉形式の単純な式で表せ:
- \(\operatorname{Pr}[W \, | \, GP]\)
- \(\operatorname{Pr}[W \, | \, \overline{\mathstrut GP} \cap OP]\)
- \(\operatorname{Pr}[W \, | \, \overline{\mathstrut GP} \cap \overline{\mathstrut OP}]\)
-
\(\operatorname{Pr}[W]\) を求めよ。
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プレイヤーがドアの選択を変更しないとき勝利する結果では、ドアの選択を変更すると敗北する。また、この逆も成り立つ。通常の Monty Hall 問題では、この事実からドアの選択を変更する戦略を用いるプレイヤーが勝利する確率が \(1 - \operatorname{Pr}[W]\) だと直ちに結論できた。しかし本問題で考えている「やり直し」が可能な Monty Hall 問題では、この結論はそれほど明らかでない。なぜか? そもそも、同じ結論はここでも成り立つか? 簡単に説明せよ。
問題 18.18
カードの山が二つある。一つの山には赤いカードだけが含まれ、もう一つの山には青いカードだけが含まれる。二つの山に含まれるカードは異なっており、ハートの \(8\) を赤い山から引く確率はハートの \(8\) を青い山から引く確率より高い。
いずれかの山をランダムに選択してシャッフルしてから箱の中に隠し、箱の中に手を入れてカードを \(1\) 枚引いたところ、引いたカードがハートの \(8\) だったとする。このとき、そのハートの \(8\) が赤い確率は青い確率より高いと考えるのが自然である。
この自然な判断を確率と条件付き確率に関する数式で表してみよう。次のように事象を定める:
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「赤いカードの山からハートの \(8\) を引く確率は、青いカードからハートの \(8\) を引く確率より高い」を意味する不等式を示せ。
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「箱の中から引いたカードがハートの \(8\) だった場合、箱の中にあるのは青いカードの山ではなく赤いカードの山である可能性が高い」を意味する不等式を示せ。
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箱の中に隠される山が等しい確率で選ばれると仮定するとき、\(\text{(a)}\) で解答した不等式から \((b)\) で解答した不等式が得られることを示せ。
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箱の中に隠される山の選択が等しい確率で行われないとする。このとき「箱の中から引いたカードがハートの \(8\) だった場合、箱の中にあるのは青いカードの山ではなく赤いカードの山である可能性が高い」という結論は成り立つか? 簡単に説明せよ。
問題 18.19
コインが \(2\) 枚ある。コイン \(1\) を投げて表が出る確率は、コイン \(2\) を投げて表が出る確率の \(x\) 倍である。コイン \(1\) を選ぶ確率がコイン \(2\) を選ぶ確率の \(w\) 倍となるように偏った確率でコインを \(1\) 枚選び、それを投げるとする。
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次の事象に関する条件付き確率を使った不等式で上記の設定を表せ:
\[ \begin{aligned} C_{1} &::= \text{コイン \(1\) が選ばれる} \\ C_{2} &::= \text{コイン \(2\) が選ばれる} \\ H &::= \text{選んだコインを投げた結果が表である} \end{aligned} \] -
「選ばれたコインを投げて表が出た場合、選ばれたのはコイン \(2\) ではなくコイン \(1\) である可能性が高い」を意味する不等式を \(\text{(a)}\) で示した事象に関する条件付き確率を使って表せ。
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「選ばれたコインを投げて表が出た場合、選ばれたのはコイン \(2\) ではなくコイン \(1\) である可能性が高い」が成り立つのは次の不等式が成り立つとき、かつそのときに限ると示せ:
\[ wx > 1 \]
問題 18.20
ビーバー風邪 (beaver fever) と呼ばれる見苦しい変性疾患が発見された: ビーバー風邪を発症すると、あらゆる場面で他人に数学ジョークを披露したい気持ちを抑えられなくなってしまう。幸いビーバー風邪は稀であり、発症の可能性があるのは \(1000\) 人に \(1\) 人に過ぎない。さらに、 非常に正確な診断検査が Meyer 博士によって発見された:
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検査される人物が将来ビーバー風邪を発症するなら、Meyer 博士の診断検査はその事実を \(0.99\) の確率で検出する。
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検査される人物が将来ビーバー風邪を発症しないなら、Meyer 博士の診断検査はその事実を \(0.97\) の確率で検出する。
ランダムに選ばれた人物を固定する。\(B\) を事象 [その人物は将来ビーバー風邪を発症する] として、\(Y\) を事象 [その人物に対する Meyer 博士の診断検査が「将来ビーバー風邪を発症する」である] とする。事象 \(B\), \(Y\) の余事象 (complementary event, 補集合が表す事象) をそれぞれ \(\overline{\mathstrut B}\), \(\overline{\mathstrut Y}\) とする。
-
上記の設定から、次の式の値が求まる。それぞれ答えよ:
\[ \operatorname{Pr}[B], \quad \operatorname{Pr}[Y \, | \, B], \quad \operatorname{Pr}[\overline{\mathstrut Y} \, | \, \overline{\mathstrut B}] \] -
\(\text{(a)}\) で示した式を使って \(\operatorname{Pr}[\overline{\mathstrut B}]\) と \(\operatorname{Pr}[Y \, | \, \overline{\mathstrut B}]\) を表せ。数値を実際に計算する必要はない。
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Meyer 博士が「この人物は将来ビーバー風邪を発症する」と告げる確率を求めよ。解答では \(\operatorname{Pr}[B]\), \(\operatorname{Pr}[\overline{\mathstrut B}]\), \(\operatorname{Pr}[Y \, | \, B]\), \(\operatorname{Pr}[Y \, | \, \overline{\mathstrut B}]\) だけを使ってよい。
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Meyer 博士に「この人物は将来ビーバー風邪を発症する」と言われた人物が本当にビーバー風邪を発症する確率を求めよ。解答では \(\text{(a)}\) に示した式だけを使ってよい。さらに、その式の値を数値的に計算せよ。
ビーバー風邪を予防するワクチンが存在するものの、それは高価で多少の副作用を持つという。将来ビーバー風邪を発症すると確信できるなら、このワクチンには打つ価値がある。しかし \(\text{(d)}\) が示すように、Meyer 博士の診断検査の結果が陽性だったとしても本当に将来ビーバー風邪を発症する確率は低い。
このとき、ワクチンを受けないことも十分合理的な判断となる ── ビーバー風邪はそこまで悪い病気ではない。ワクチンを接種するつもりがない人々にとって、Meyer 博士の診断検査には何の意味もない。ここから検査結果に価値は無いと思うかもしれない。しかし、次のように考えれば検査結果には意味がある:
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Meyer 博士が作成したワクチンは人口の \(2\%\) 分しか存在しないとする。ランダムに選んだ人物にワクチンを接種させる場合、ワクチンを必要とする人物の \(2\%\) がワクチンを接種することになる。しかし、全員に Meyer 博士の診断検査を受けさせ、その結果が陽性だった人物にワクチンを接種させると、将来ビーバー風邪を発症する人口の中でワクチンを接種する割合は \(2\%\) より格段に高くなる。この割合を概算せよ。
問題 18.21
Monty Hall 問題 で使われるゲームを次のように変更したものを考える: \(2\) 頭のヤギはそれぞれ赤と青に塗られている。\(3\) 個のドアがあり、\(1\) 個のドアの後ろには賞品が、他のドアの後ろには \(1\) 頭ずつヤギが隠されている。プレイヤーは最初にドアを選択した後、「Yes」または「No」で答えられる質問を司会者に向かって尋ねることができる。この質問に司会者は正直に解答し、その後プレイヤーにはドアの選択を変更する権利が与えられる。
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プレイヤーの質問が「私が選んでいないドアにヤギは隠されているか?」で、司会者の解答が「Yes」だったとする。賞品の隠されたドアを選択する確率を最大化したいとき、プレイヤーが取るべき戦略を答えよ。ドアの選択を変更すべきか、変更すべきでないか、それともどちらでも確率は変わらないか? この状況をモデル化する確率空間 (結果とその確率) を明確に述べること。その戦略を採用するとき、賞品の隠されたドアを選択する確率を求めよ。
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プレイヤーの質問が「私が選んでいないドアに赤いヤギは隠されているか?」で、司会者の解答が「Yes」だったとする。賞品の隠されたドアを選択する確率を最大化したいとき、プレイヤーが取るべき戦略を答えよ。ドアの選択を変更すべきか、変更すべきでないか、それともどちらでも確率は変わらないか? この状況をモデル化する確率空間 (結果とその確率) を明確に述べること。その戦略を採用するとき、賞品の隠されたドアを選択する確率を求めよ。
問題 18.22
あなたは国勢調査の調査員になった。あなたの仕事は対象地域の家を一軒ずつノックし、ドアを開けた子供の性別を記録することである。次の仮定を置く:
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全ての家庭には二人の子供がいる。
-
ランダムな子供の性別が男である確率と女である確率はそれぞれ \(50\%\) である。
-
家をノックすると、その家庭の二人の子供のいずれかがドアを開ける。
-
ドアを開ける子供はその家庭の二人の中から等しい確率で決定される。
この試行の標本空間は \(\left\{ \texttt{B}, \texttt{G} \right\} \times \left\{ \texttt{B}, \texttt{G} \right\} \times \left\{ \texttt{E}, \texttt{Y} \right\}\) であり、結果は三つ組で表される。結果の第一要素は年上の子供の性別、第二要素は年下の子供の性別、第三要素はドアを開けたのが年下の子供と年上の子供のどちらかを表す。
-
\(O\) を事象 [女の子がドアを開けた] として、\(T\) を事象 [家庭に二人の女の子がいる] とする。\(O\) に含まれる結果と \(T\) に含まれる結果をそれぞれ示せ。
-
女の子がドアを開けたという条件の下で、その家庭の子供が二人とも女の子である確率 \(\operatorname{Pr}[T \, | \, O]\) を求めよ。
-
次の議論に含まれる間違いを指摘せよ。
誤った議論女の子がドアを開けたとき、その家庭には女の子が少なくとも一人いる。ランダムな家庭に少なくとも一人の女の子がいる確率は次に等しい:
\[ 1 - \operatorname{Pr}[\text{子供が二人とも男の子}] = 1 - \frac{1}{2} \cdot \frac{1}{2} = \frac{3}{4} \]ここから次の等式が分かる:
\[ \begin{aligned} &\operatorname{Pr}[T \, | \, 家庭に女の子が少なくとも一人いる] \\[5pt] &\quad = \frac{\operatorname{Pr}[T \cap \text{家庭に女の子が少なくとも一人いる}]}{\operatorname{Pr}[\text{家庭に女の子が少なくとも一人いる}]} \\[5pt] &\quad = \frac{\operatorname{Pr}[T]}{\operatorname{Pr}[\text{家庭に女の子が少なくとも一人いる}]} \\[10pt] &\quad = \frac{1/4}{3/4} = \frac{1}{3} \end{aligned} \]よって、女の子がドアを開けたとき、その家庭に女の子が二人いる確率は \(1/3\) である。
問題 18.23
邪悪な魔法使い Volmedort、悪の帝王 Saruon、そして小さなウサギ Fo-Fo の \(3\) 人が厳重な警備の敷かれた牢獄に収監されている。仮釈放委員会は \(3\) 人の囚人の中から \(2\) 人を解放することに決めた。解放される \(2\) 人は等しい確率で選ばれる。
-
Volmedort が解放される確率を求めよ。
看守は解放される囚人の名前を \(1\) 人だけ Volmedort に明かすことにした。この看守の情報は正確である。次のように事象を定める:
また、看守は次の規則に従って解放される囚人の名前を明かす:
-
Volmedort の名前は明かさない。
-
Saruon と Fo-Fo が解放されるときは Fo-Fo の名前を明かす。
次の設問に答えよ:
-
\(\operatorname{Pr}[V \, | \, F^{\prime}]\) を求めよ。
-
\(\operatorname{Pr}[V \, | \, S^{\prime}]\) を求めよ。
-
全確率の法則 (規則 18.5.1) を使うと \(\text{(b)}\), \(\text{(c)}\) の解答から \(\text{(a)}\) と同じ結論が得られることを確認せよ。
問題 18.24
平面上の点 \((0,0)\) を出発し、ステップごとに右または上に \(1\) 単位だけ移動する点が描く路を考える。この点を次のように状態機械でモデル化する: \(\mathbb{N} \times \mathbb{N}\) を状態集合、原点 \((0, 0)\) を初期状態として、遷移は次の規則で定める:
-
移動する点によって描かれる、原点から始まる長さ \(n\) の路はいくつあるか?
-
ちょうど \(n\) ステップで到達可能な点はいくつあるか?
-
\(n\) ステップ以内に到達可能な点はいくつあるか?
-
遷移が独立かつランダムに選択されるとする。右に進む確率が \(p\) で、上に進む確率が \(q ::= 1 - p\) のとき、点が \((x, y)\) に到達する確率を求めよ。
-
点が \((m, n)\) に到達したという条件の下で、その後に点が \((x, y)\) に到達する確率を求めよ。
-
\((x, y)\) で終わる路が \((m, n)\) を通過する確率は \(p\) に依存しないことを示せ。
問題 18.25
第 18.6 節と同じように\(A\), \(F_{EE}\), \(F_{CS}\), \(M_{EE}\), \(M_{CS}\) を定める。
ある大学が入試における性差別の疑いで提訴された。原告 (捜査機関の担当者) は、学科別に見ると女性受験生の合格率が男性受験生の合格率より低い点を指摘した。つまり次の不等式が成立する:
これに対して大学側の弁護士は、全体で見ると女性受験生の合格率は男性受験生の合格率より高いと反論した。つまり次の不等式が成り立つ:
ここで裁判官が裁判を中断し、原告と弁護士を別室に呼び出した上で自身が見つけた「矛盾」に関する意見を求めた。裁判官は次の不等式を示した:
つまり、次の不等式が得られる:
しかし、これは大学側の主張する不等式 \(\text{(8.15)}\) と矛盾する!
もちろん裁判官が間違っている。原告の主張と弁護士の主張が両方とも正しい (男女を逆転させた) データの例は第 18.6 節で示した。裁判官の「証明」に含まれる間違いを指摘せよ。
問題 18.26
「情報科学のための数学」の講義で TA を務める退屈な時間が終わると、Oscar は念による空中浮遊の習得に、Liz は松明ジャグリングの世界大会で優勝するための練習に精を出している。Oscar が成功する確率は \(1/6\)、Liz が成功する確率は \(1/4\) で、二つの事象は独立だと仮定する。
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少なくとも \(1\) 人が成功するとき、Oscar が空中浮遊を習得する確率を求めよ。
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成功するのが \(1\) 人以下のとき、Liz が松明ジャグリングの世界大会で優勝する確率を求めよ。
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ちょうど \(1\) 人が成功するとき、それが Oscar である確率を求めよ。
問題 18.27
確率が \(0\) でも \(1\) でもない二つの独立な事象が存在する最小の標本空間の要素数を答えよ。解答が正しい理由を説明せよ。
問題 18.28
次の条件を満たす事象 \(A\), \(B\), \(E\) の例をそれぞれ示せ:
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\(A\) と \(B\) は独立、かつ \(E\) の下で条件付き独立である。しかし \(A\) と \(B\) は \(\overline{\mathstrut E}\) の下で条件付き独立でない。つまり、次の関係が全て成り立つ:
\[ \begin{aligned} \operatorname{Pr}[A \cap B] &= \operatorname{Pr} [A] \cdot \operatorname{Pr} [B] \\ \operatorname{Pr}[A \cap B \, | \, E] &= \operatorname{Pr} [A \, | \, E] \cdot \operatorname{Pr} [B \, | \, E] \\ \operatorname{Pr}[A \cap B \, | \, \overline{\mathstrut E}] &\neq \operatorname{Pr} [A \, | \, \overline{\mathstrut E}] \cdot \operatorname{Pr} [B \, | \, \overline{\mathstrut E}] \\ \end{aligned} \]ヒント: 標本空間を \(\left\{ 1, 2, 3, 4 \right\}\) とする。
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\(A\) と \(B\) は \(E\) の下および \(\overline{\mathstrut E}\) の下で条件付き独立であるものの、\(A\) と \(B\) 自体は独立でない。つまり、次の関係が成り立つ:
\[ \begin{aligned} \operatorname{Pr}[A \cap B \, | \, E] &= \operatorname{Pr} [A \, | \, E] \cdot \operatorname{Pr} [B \, | \, E] \\ \operatorname{Pr}[A \cap B \, | \, \overline{\mathstrut E}] &= \operatorname{Pr} [A \, | \, \overline{\mathstrut E}] \cdot \operatorname{Pr} [B \, | \, \overline{\mathstrut E}] \\ \operatorname{Pr}[A \cap B] &\neq \operatorname{Pr} [A] \cdot \operatorname{Pr} [B] \\ \end{aligned} \]ヒント: 標本空間を \(\left\{ 1, 2, 3, 4, 5 \right\}\) とする。
問題 18.29
事象 \(E\), \(H\) が \(\operatorname{Pr} [H \, | \, E] > \operatorname{Pr}[H]\) を満たすとき、\(E\) を事象 \(H\) に有利な証拠 (evidence in favor of \(H\)) と呼ぶ。逆に \(\operatorname{Pr} [H \, | \, E] < \operatorname{Pr}[H]\) を満たすとき、\(E\) を事象 \(H\) に不利な証拠 (evidence against \(H\)) と呼ぶ。
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次の条件を満たす事象 \(A\), \(B\), \(H\) の例を示せ:
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\(A\) と \(B\) は独立
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\(A\) は \(H\) に有利な証拠
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\(B\) は \(H\) に有利な証拠
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\(A \cup B\) は \(H\) に不利な証拠
ヒント: 標本空間を \([1..8]\) とする。
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「\(E\) が \(H\) に有利な証拠」と「\(\overline{\mathstrut E}\) が \(H\) に不利な証拠」が同値だと示せ。
問題 18.30
\(G\) を \(n\) 頂点の単純グラフとする。二頂点 \(u\), \(v\) が \(G\) で隣接することを \(A(u, v)\) と表記し、\(u\) と \(v\) を結ぶ長さ \(2\) の歩道が \(G\) に存在することを \(W(u, v)\) と表記する。
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\(W(u,u)\) と \(\exists v.\,A(u, v)\) が同値だと示せ。
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異なる二頂点 \(u\), \(v\) に対する \(W(u, v)\) の定義となる \(A(\cdots)\) を使った述語論理式を示せ。
\(G\) は \(n\) 個の頂点を持つので、辺が存在できる頂点の組は \(e ::= \binom{n}{2}\) 個ある。\(G\) の辺集合 \(E(G)\) の要素がこれら \(e\) 個の選択肢の中からランダムに選択されるとする。各辺が \(E(G)\) に含まれる確率は \(p\) であり、それぞれの辺の選択は相互独立だと仮定する。
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\(p\), \(e\), \(k\) を使った簡単な式で \(\operatorname{Pr}[|E(G)| = k]\) を表せ。
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\(p\), \(n\) を使った簡単な式で \(\operatorname{Pr}[W(u, u)]\) を表せ。\(u\) は任意の頂点を表す。
辺は相互独立に選択されるので、ある事象に関係する辺の集合と別の事象に関係する辺の集合が共通要素を持たないなら、その二つの事象は独立である。例えば、\(w\), \(x\), \(y\) を異なる三頂点とするとき、事象 \([A(w, y) \ \operatorname{\text{\footnotesize AND}} \ A(y, x)]\) に関係する辺の集合は \(\left\{ \langle w\>\text{---}\>y \rangle, \langle y\>\text{---}\>x \rangle \right\}\) である。また、事象 \([A(w, z) \ \operatorname{\text{\footnotesize AND}} \ A(z, y)]\) に関係する辺の集合は \(\left\{ \langle w\>\text{---}\>z \rangle, \langle z\>\text{---}\>y \rangle \right\}\) である。二つの集合は共通要素を持たないので、二つの事象は独立だと分かる。
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異なる二頂点 \(w\), \(x\) に対して、次のように \(r\) を定める:
\[ r ::= \operatorname{Pr}[\operatorname{\text{\footnotesize NOT}} (W(w,x))] \tag{18.16}\]\(n\) と \(p\) を使った簡単な式で \(r\) を表せ。
ヒント: \(x\) と \(y\) を結ぶ異なる長さ \(2\) の路は辺を共有しない。
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頂点 \(x\), \(y\) が長さ \(3\) の閉路上にあるかどうかは次のように表現できる:
\[ A(x, y) \ \operatorname{\text{\footnotesize AND}} \ W(x, y) \]\(p\) と \(r\) を使った簡単な式を使って、\(G\) で二頂点 \(x\), \(y\) が長さ \(3\) の閉路上にある確率を表せ。
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\(W(w, x)\) と \(W(y, z)\) が一般には独立でないと示せ。
ヒント: \(V(G) = \left\{ w, x, y, z \right\}\) および \(p = 1/2\) の場合を考える。
問題 18.31
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全域、対称的、推移的な任意の二項関係は反射的だと示せ。
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「\(A\) は \(B\) と独立、\(B\) は \(C\) と独立、しかし \(C\) は \(A\) と独立でない」を満たす事象 \(A\), \(B\), \(C\) が存在すると結論付けよ。
問題 18.32
事象 \(A\), \(B\), \(C\) が相互独立なとき、\(A \cap B\) と \(B \cup C\) は独立か?
問題 18.33
公平かつ相互独立な \(3\) 枚のコインを投げる試行を考える。次のように事象を定める:
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四ステップ法を使って、この試行の確率空間および事象 \(A\), \(B\), \(C\), \(D\) の確率を求めよ。
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事象 \(A\), \(B\), \(C\), \(D\) が相互独立でないと示せ。
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事象 \(A\), \(B\), \(C\), \(D\) が \(3\) 次独立だと示せ。
問題 18.34
\(A\), \(B\), \(C\) を事象とする。次に示す命題が正しいなら証明し、正しくないなら反例を示せ:
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\(A\) が \(B\) と独立なら、\(A\) は \(\overline{\mathstrut B}\) とも独立である。
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\(A\) が \(B\) と独立で、\(A\) が \(C\) と独立なら、\(A\) は \(B \cap C\) と独立である。
ヒント: 全組独立ではあるものの \(3\) 次独立ではないような \(A\), \(B\), \(C\) を考える。
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\(A\) が \(B\) と独立で、\(A\) が \(C\) と独立なら、\(A\) は \(B \cup C\) と独立である。
ヒント: \(\text{(b)}\) を利用する。
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\(A\) が \(B\) と独立で、\(A\) が \(C\) と独立で、\(A\) が \(B \cap C\) と独立なら、\(A\) は \(B \cup C\) と独立である。
問題 18.35
\(A\), \(B\), \(C\), \(D\) を事象とする。次に示す誤った主張の反例を示せ:
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誤った主張: \(A\) と \(B\) が \(C\) の下で条件付き独立かつ \(D\) の下で条件付き独立なら、\(A\) と \(B\) は \(C \cup D\) の下で条件付き独立である。
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誤った主張: \(A\) と \(B\) が \(C\) の下で条件付き独立かつ \(D\) の下で条件付き独立なら、\(A\) と \(B\) は \(C \cap D\) の下で条件付き独立である。
ヒント: \(A\), \(B\), \(C\), \(D\) を次の条件が成り立つように定める:
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\(3\) 次独立
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\(4\) 次独立でない
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\(A\) と \(B\) が \(C \cap D\) の下で条件付き独立でない
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問題 18.36
次の性質を持つ事象 \(A\), \(B\), \(C\) の例を示せ:
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次の「乗算則」を満たす:
\[ \operatorname{Pr} [A \cap B \cap C] = \operatorname{Pr}[A] \cdot \operatorname{Pr}[B] \cdot \operatorname{Pr}[C] \] -
どの二つの事象も独立でない。
ヒント: 標本空間を \([1..6]\) とする。
問題 18.37
ある教室には次に示すように \(16\) 個の机が \(4 \times 4\) の格子状に並んでいる:
水平方向または垂直方向に隣り合う二つの机を隣接組 (adjacent pair) と呼ぶことにする。各行には水平方向に隣り合う隣接組が \(3\) 個あるので、水平方向に隣り合う隣接組は全部で \(12\) 個ある。同様に垂直方向に隣り合う隣接組も全部で \(12\) 個ある。
それぞれの机には座る学生が相互独立に割り当てられる。任意の机に男子が座る確率は \(p > 0\) で、女子が座る確率は \(q ::= 1 - p > 0\) だとする。隣接組の一方に男子が座り、もう一方に女子が座るとき、その隣接組はフラーテーション (flirtation) を持つと言う。隣接組 \(D\) がフラーテーションを持つ事象を \(F_{D}\) とする。
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異なる二つの隣接組が同じ机を共有するとき、それらは重なる (overlap) と言う。例えば、各行の一つ目の隣接組と二つ目の隣接組、そして二つ目の隣接組と三つ目の隣接組は重なる。異なる隣接組 \(D\), \(E\) が重なるなら、\(F_{D}\) と \(F_{E}\) が独立するのは \(p = q\) のとき、かつそのときに限ると示せ。
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\(p = q = 1/2\) だったとしても \(F_{D_{1}}\), \(F_{D_{2}}\), \(F_{D_{3}}\), \(F_{D_{4}}\) が相互独立でない四つの隣接組 \(D_{1}\), \(D_{2}\), \(D_{3}\), \(D_{4}\) の例を示し、相互独立でないことを証明せよ。
問題 18.38
学術誌 International Journal of Pharmacological Testing には、治験結果に関する論文は結論が \(95\%\) の信頼度で正しくなければ掲載を拒否するというポリシーがある。編集者とレビュアーは、掲載される論文の全ての結論が間違いなく \(95\%\) 以上の信頼度を持つ治験から得られていることを入念にチェックする。また、結果が掲載される治験が互いに独立して実施されたこともチェックされる。
このポリシーがあれば、間違いを含んだまま掲載される論文は最大でも \(5\%\) になると編集者たちは推測した。そのため、ある年に掲載した治験結果に関する論文 \(20\) 本が全て間違っていたと判明して、編集者は恥をかくとともに驚愕した。彼らは次のように考えた: 治験は独立して実施されるから、私たちが掲載を許可した \(20\) 本の論文が全て間違っている確率は \((1/20)^{20} < 10^{-25}\) で無視できる程度に小さいはずなのに!
彼らの考えが間違っていて、\(20\) 本の論文が全て間違っている確率が無視できない程度に存在することを混乱した編集者たちに納得させる簡単な説明を示せ。
ヒント: xkcd コミック「significant」 (https://xkcd.com/882/)
問題 18.39
それなりに正確なアレルギー検査がある。その性能は次の通りである:
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アレルギーを持つ人物を検査すると、\(90\%\) の確率で「アレルギーを持つ」と答え、\(10\%\) の確率で「アレルギーを持たない」と答える。
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アレルギーを持たない人物を検査すると、\(5\%\) の確率で「アレルギーを持つ」と答え、\(95\%\) の確率で「アレルギーを持たない」と答える。
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この検査の結果が正しいことに関する信頼度を答えよ。
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この検査の「アレルギーを持つ」という診断結果が持つ、その人物がアレルギーを持つことに関する Bayes 因子を求めよ。
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ランダムな人物がこの検査で「アレルギーを持つ」と診断されたとき、その人物がアレルギーを持つオッズに関して何が言えるか? オッズが \(1\) より大きいかどうかは決定するか?
この検査を実施した医者が患者に「検査結果は陽性であり、アレルギーを持つのは全体の \(25\%\) なので、あなたがアレルギーを持つオッズは \(6\) 対 \(1\) です」と告げた。
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医者がどのようにオッズを計算したか説明せよ。
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別の医者に検査結果と診療記録を見せたところ、その医者は「この患者がアレルギーを持つオッズはもっと高く、\(36\) 対 \(1\) だ」と言った。二人の誠実な医者の意見がこれほど大きく異なる理由を簡単に説明せよ。患者がアレルギーを持つオッズを正確に決定する方法は存在するか?
